ゴミ屑リーマンキョンが誕生するまで~大学初期編~
こんにちは、ゴミ屑リーマンのキョンです。前作に続き、今回は「ゴミ屑リーマンキョンが誕生するまで~大学初期編~」を書いていきます。
前作を見ていない人はこちらから。
今回はいきなり小学生編から大学初期編になります。理由としては、中学、高校生活は割とまともだったということです。普通に勉強して、部活やって、恋愛して、受験勉強して大学に入りました。
なのでこの期間のことは飛ばし、大学初期の頃から書いていきたいと思います。
【目次】
【パチスロとの出会い】
僕が初めてスロットに触れたのは小学生の時だ。当時、普通にゲームセンターにもあったし、現金を入れずにメダルで遊べるものもあった。
当時は訳も分からずひたすら通常時に7を狙い続け、なぜ揃わないのか?と首を傾げていのを覚えている。
なので、初めて自分の金をサンドにぶち込んで打ったのはいつだ?と聞かれると、大学も合格し、4月の入学まで暇を持て余していた、高校卒業後になると思う。
パチスロとの出会いは正確には高校卒業後、ということにしておく。
この時は特にハマっていたとかそういうことはなく、たまに不良の友達に誘われ、3000円くらい遊んで帰る、といった程度だった。
【大学入学】
大学に入学してから2ヵ月程が経過した。学科内で何人か親しい友達ができ、オールランドサークルとフットサルサークルを掛け持ち。アルバイトにも慣れ始めた頃だった。
日々、忙しさに翻弄されていたが、多分この時期が大学生活でのピークだったと思う。毎日が初めての連続で、キラキラしていた。
【カスミちゃんとの出会い】
ちょうどこの時期、僕には気になり始めた女の子がいた。
オールラウンドサークルで知り合った同い年のカスミちゃんだ。きっかけはサークルでの新歓合宿、合宿所へ向かうバスの中で、たまたま席が隣だった。
艶のある綺麗な黒髪にパッチリとした大きな瞳、女優で例えるなら二階堂ふみ辺りだろうか?まさに僕のタイプだった。
話をしているうちに、どうやらカスミちゃんは1人でこの合宿に参加していることがわかった。学科が男ばかりで、女の子の友達を作りに来たのだという。
合宿所に着くまでのバスの中、僕とカスミちゃんはすっかり意気投合し、ずっと2人きりで話していた。
宿に着くとすぐに新入生を歓迎する飲み会が始まった。当時の新歓合宿というと、僕のサークルに限らず、ひたすら飲み続けるという感じだった。
酒の強さでそのサークルにおける自身のカーストが決まるといっても過言ではない、僕の周りの新入生もひたすら飲まされていた。
そんな僕はというと、酒なんてどうでもよかった。僕の頭の中は酒どころじゃなく、カスミちゃんのことでいっぱいだった。
やがて時刻も深夜0時を回り、飲み会もやっと終わりを迎えようとしていた。
ほろ酔いの僕は、静かになった宴会場を後にし、自分の部屋へと向う。
【戦下のナイチンゲール】
ほろ酔いのまま部屋を開けると、そこには恐ろしい光景が広がっていた。一瞬で目が覚めた。
大量の酒を飲まされ酔いつぶれた周りの新入生が、何人も横たわっていたのだった。寝ながら嘔吐をしている奴もいる。
そう、僕の部屋は潰れた人間を放り込む部屋として使われていたのだった。複数のうめき声が響き渡り、まるで戦時中の病棟のようだった。
最悪だ…。
しかし、そんな戦下の病棟の中に、1人だけ光り輝くナイチンゲールがいた。そう、そこにはカスミちゃんがいたのだ。
話を聞くと、どうやらカスミちゃんは、僕がこの部屋に入る2時間前から、たった1人で潰れた新入生達の介抱をしていたのだという。なんて優しい子なんだ。
その後、僕も介抱を手伝った。
気が付くと時刻は深夜の2時を迎えていた。やがてうめき声を上げていた負傷者たちも寝静まり、部屋の中は静寂に包まれた。
この部屋には僕とカスミちゃんしかいない。一瞬いやらしい想像もしたが、すぐに自分を制止した。
介抱もひと段落したところで、僕とカスミちゃんは2人でコンビニに行くことにした。
合宿所から最寄りのコンビニまで徒歩20分、辺りは森に囲まれ、1人で歩くにはちょっと怖い。
2人、少し速足で森に囲まれた畦道を進む。
途中、カスミちゃんが僕に「怖いから手つないでもいい?」と言ってきた。
聞き間違いじゃないだろうか?僕は一瞬自身の耳を疑った。だがそれは聞き間違いじゃなかった。
カスミちゃんの小さな手が僕の手をギュッと掴む。可愛過ぎてちょっと胸が苦しくなった。「キュンとする」とはまさにこのことだったのか。
この時、僕は完全にカスミちゃんに惚れていた。サークルなんてどうでもいい、カスミちゃんさえいればいい、この手をいつまでも握っていたい、そんな気持ちだった。
【納涼船】
あのサークル合宿から1ヵ月後の7月下旬、僕は浴衣を着て、船の上にいた。今日はサークルメンバーで納涼船に乗る、という企画だ。もちろんそこにはカスミちゃんもいた。
僕は今まで生きてきて、1度も浴衣なんて着たことがなかった。しかし、カスミちゃんに「キョン君の浴衣姿見てみたい」と言われた手前、着ていかないわけにはいかない。
アルバイトを始めて間もない僕はお金がなく、母親に頭を下げ、1万円程の浴衣を買ってもらった。
慣れない浴衣を着て、僕は船がある浜松町駅へと向かった。浴衣で電車に乗るのが恥ずかしかったことを今でも覚えている。
浜松町駅に着き、改札を出ると、辺りは浴衣を着た男女で溢れていた。人ごみの中から自分のグループをなんとか見つけ出す。
サークルメンバーはみんなそれぞれ個性的な浴衣を着ていた。ピンクだったり白だったり。みんな可愛くて、かっこよかった。3割増しとはこのことだろうか。
肝心なカスミちゃんはというと、濃い青をベースにした和風な浴衣。牡丹の柄が全体に散りばめられている。まさに大和なでしこ。本当に可愛かった。
今回、サークルメンバーで納涼船に乗る、という企画のほかに、実は僕にはもっと大事な企画があった。
そう、船の上で浴衣姿のカスミちゃんに告白することだ。
あの新歓合宿以来、気が付くと僕はカスミちゃんのことばかり考えている。
何としてでもカスミちゃんを彼女にしたかった。女の人に告白するのは3年ぶりくらいだったが、手をつないだこと、浴衣姿が見たいと言われたこと、僕自身、多分いけると思っていた。そう、この時は。
メンバー全員での乾杯がひと段落し、自由時間のような時間が始まった。
カスミちゃんを連れ、僕は船のデッキに出た。ちょうど夕暮れの時間なのか、辺りはオレンジ色の空で覆われていた。
時間にして15分くらいだろうか?2人でぼーっとしながら、東京の街並みを眺めていた。
船の上から見る東京の街並みも、なかなかいいものだと知った。
気が付くと夕日も完全に落ち、辺りは暗くなっていた。さっきまで見ていた東京の景色が、今度は夜景に変わっている。
ムードも最高潮、今しかないと思い、僕はカスミちゃんに思いをぶつけた。
「カスミちゃんが大好きです。僕の彼女になって下さい。」自分でも驚くくらいあっさり言えた。
数秒間の沈黙が流れる…
「私キョン君のこと、友達だと思ってた。それに私、今好きな人いるんだ。だから付き合えない。ごめんなさい。」
僕は、目の前の現実を受け入れられずに、1人でデッキにいた。確かにカスミちゃんに好きな人がいることは他のサークル仲間から聞いていた。
でもそれは絶対に僕自身のことだと思っていた。だって手も繋いだし、俺の浴衣姿見たいって言ってたじゃんか…
少し僕がピュア過ぎたのかもしれない。気が付くと僕は浴衣姿のまま、地元のパチンコ屋の中にいた。
カスミちゃんに振られた後、僕は1人で納涼船を後にした。その場所に居続けることがあまりにも辛かったから。
他のサークルメンバーから心配のメールが来たが、全て無視した。
とにかく何も考えたくなかった。いまだにカスミちゃんに振られた現実を受け入れられない。
当時好きだった、パチスロマクロスフロンティアを打ちながら、僕は少しだけ泣いた。
カスミちゃんに振られた絶望感とは裏腹に、気が付くとARTに当選。このARTがうまく継続し、出玉はどんどんと伸びていった。
20時頃から約1500GのARTを消化し、気が付けば時刻は22時45分、獲得枚数は約3000枚。いつもは5スロを打っていたが、この日はやけになり、なぜか20スロを打っていた。
6万円も勝ったのはこの時が初めてだった。(多分この時負けていたら僕は自〇していただろう。)
カスミちゃんに振られた絶望感と、6万円買った嬉しさが混ざり合い、僕の頭の中は混沌としていた。
パチンコ屋を出て、歩きながら自宅へと向かう。再び、絶望感が僕を襲う。
本当に夢のような時間だった。たった4時間前まで、僕は幸せだった。これから始まるであろうカスミちゃんとのキャンパスライフを思い描いていた。僕にはカスミちゃんしかなかった。なのに何故?
帰り道、僕はコンビニのトイレで少し吐いた。本当に最悪な日だった。
【夏休み】
それ以来、僕がサークルに顔を出すことはなかった。
大学入学後、初のテストも終わり、夏休みへと突入した。大体リア充の新入生はこの時期までに彼氏、彼女を作り、花火や海、バーベキューなど大学生最初の夏休みを謳歌する。
一方で僕は、毎朝9時に起き、9時半から始まるマイホールの抽選を受けるため、自転車を漕いでいた。
カスミちゃんに振られてから1週間、気が付くと僕はパチンコ屋に行くことが日課となっていた。
スロットで大当たりしているときはカスミちゃんのことを忘れることができたからだ。
この時はまだ、振られた辛さを紛らわすためにスロットを打っていたのだと思う。
蝉の声も少なくなり、新学期開始まで残り1週間程度となった9月の上旬、僕はいつものようにマイホールでスロットを打っていた。
ただ、1カ月前と違うのは、この時もはやカスミちゃんのことなんか忘れていた。
たった1ヵ月の間で僕は完全にスロットに嵌っていたのだった。
しかし、これはこれから始まるギャンブル生活の中において、ただの序章に過ぎず、本当のスタートはここからだった。